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緊張感から解放〜リラックスの場へ

▲とてもきれいですが、施工前の状態。

    5年ほど前建設されたマンション。オーナー様は以前出張などで忙しく、長時間この家で過ごされることはなかったのですが、コロナ禍でこのお部屋でお仕事をされる時間が増え、身体に異変を感じるようになってしまいました。 眠りが浅い、鼻炎や目ヤニ、咳が辛い、体の一部が痺れるなど。体の異変から様々な対策をされていましたが、改善されずシックハウス症候群や化学物質過敏症の疑いがありました。原因が特定できない分、とにかく辛い症状です。近年、住宅の高気密化などが進み室内は24時間換気の設備も整ってはいましたが、現地調査をさせて頂いた時は特に収納や洗面化粧室の中が接着剤や建材の臭いがこもっている状態でした。  

▲調査時。常に清潔に維持されている状態でもキッチン収納庫内の食器にまで建材の臭いが移っていました。

  調査後、オーナー様のご要望はビニールクロス部分を漆喰壁に変えて、化学物質を室内から減らすということでした。 ビニールクロス自体よりも壁紙を貼る接着剤に原因があると私たちは考え、既設の壁の解体し新しい下地も入れ替えることがベストと考えましたが、できるだけ工事を最小にしたいというご要望で既設の状態で、身体が反応している化学物質を抑える素材と施工方法を考えました。 オーナー様に色々な素材でテストをしていただきました。素材だけでなく、施工後の状態に近いサンプルを寝室に置いて過ごして頂いたり、漆喰を施工中の現場に来て頂いたこともありました。居住部分ではないお部屋でテスト施工もしました。身体に合わない場合、解体することも考えられましたが、結果大丈夫でしたのでぴったりの素材が見つかり、本当に良かったです。 最終的に壁、天井は既設のクロスの上から、中霧島壁を施工させていただくことになりました。中霧島壁と鹿児島県から宮崎県南部にかけて、最大150メートルもの厚さでシラスが積み重なっている広大なシラス台地からとれた素材でいっさい混ぜ物がない100%自然素材。2万5千年もの間、人類と共存してきた火山噴出物シラスをさらに微粒にし施工もしやすい素材です。 漆喰との違いは、漆喰は漆喰単独では固まらないので糊が混ぜられていますが、シラスは何も混ぜませんので、ほとんどにおいがありません。この他にも細かな違いはありますが、素材の性質や見た目、身体との相性でこの中霧島壁を選ばれました。  

▲コンクリートの壁の部分はクロスを剥がします。

 

▲施工中は素材を急激に乾燥させられないため、密室で施工します。更に塗った直後熱を発生させるためサウナ状態。左官さんは熱中症との戦いです。オーナー様にも施工中別の場所で避難して頂いていました。

 

▲マンションは梁が多いので、角もピシッと出るように施工。

 

▲ラフでありながらも美しいラインに仕上がりました。

 

▲外せない収納の壁や天井も施工。

 

▲寝室も施工後は空気が変わりました。

 

▲洗面化粧室、トイレは最低限外さなければいけない設備を外して施工。

 

▲廊下から玄関も施工。

  いちばん臭いがこもっていたキッチン収納はヒノキで作り替えとカウンター収納を追加することになりました。

▲キッチンが明るくなりました。ヒノキの仕上げは、アマニ油ベースのオイル塗装。

  中霧島壁や収納の施工が終わり、オーナー様が戻られましたが、数日過ごされてトイレと洗面脱衣室のクッションフロアの臭いが気になり出したとありました。クッションフロアの接着剤は何年経っても、粘着性があり固まらなく、施工で室内が高温だったということと、他の部屋の臭いがなくなり、際立ってしまいました。 改めてトイレはヒノキ、洗面化粧室はスギの床材で貼り替えることになりました。

▲クッションフロアの接着剤は貼り替えができるように固まらない接着剤を使用することが多い。

 

▲パーチクルボードは遮音性も高く、マンションなどによく使われる優秀な建材ですが、木を粉砕したものを接着剤で圧縮して生産されるので、丸ノコでカットする時は鼻にツンとくる臭いがします。建材に慣れていても、私はくしゃみが止まりません。

 

▲床部分を全て取り外す。

 

▲根太組み、遮音パッド、断熱兼遮音材を敷き詰める。

 

▲スギの捨て張りを敷く。

 

▲ヒノキの床板材を通常は専用ボンドで貼り込んでいきますが、化学物質を最小限にするため接着剤無しで貼っていきます。接着剤が無いと床鳴りや割れの原因になりますが、それよりも身体に優しいことを優先した施工方法にしました。

 

▲ヒノキ ドライワックス仕上げ。しっとりと水に濡れたような色合いになります。

 

▲洗面化粧室はスギ材で仕上げます。スギは水に強いので水回りに向いています。

▲元々設置されている収納の色味とマッチするか心配でしたが、スギの赤み部分がアクセントとなって爽やかになりました。クッションフロアの接着剤の臭いも消えました。

 

▲仕上げはカーテン。リネン100%のカーテンは優しい光を室内に入れてくれます。カーテンはポリエステル素材が多いですが、静電気が起きてホコリや汚れが吸着します。リネンやコットンは風合いも良く長持ちしますが、繊維がちぎれてホコリがでやすいデメリットがあります。どちらもメリットデメリットはありますので生活スタイルや環境に合わせてお選びいただけます。

  ▲施工前 ▼施工後 写真ではわかりづらいですが、家全体の空気が一気に変わり、オーナー様からは人の手で塗られた感じがとても良くて、海の波の様で落ち着きますとおっしゃっていただけました。 何より、寝て朝起きるのが嫌になるぐらい眠ることが楽しみになったと言われました。 人によって違うかもしれませんが、眠りが快適で体や頭を休めるがしっかりあるということは健康に過ごせる大切な要素でもあります。自分の家なのに体が緊張した状態では休むことができないので、本当に大変だったと思います。オーナー様の本当の意味でリラックスできる空間を造れたことは、私たちにとって本当に嬉しく思います。 オーナー様と素材選びやテスト、職人さんと施工方法の試行錯誤の経験は大変でしたが、とても勉強になりました。自然素材だから大丈夫。と思い込んでいたものが全ての人に大丈夫では無いこと、ひとりひとりの体質や生活習慣などにとことん向き合って素材を見つけなければと実感しました。 完全に工事が終わる頃、オーナー様の顔色が良くなって以前より元気になっているように見られました。